逆福祉の国、日本。こんなことがあっていいのか。
ダン・コガイのブログにトラックバックを打つことにした。
二児の父として、このことは知っているつもりだった。...本書「子どもの貧困」は、日本の子どもの貧困がいかにひどいかを、情ではなく理で説いた渾身の一冊。
『子どもの貧困』という本の書評である。私は本はまだ読んでいないが、重要なことに触れていたので、そのことについて書いておきたい。それは、以下に引用されている部分である。
これをみると、十八カ国中、日本は唯一、再分配後所得の貧困率のほうが、再分配前所得の貧困率より高いことがわかる。つまり、社会保障制度や税制度によって、日本の子どもの貧困率は悪化しているのだ!
再分配後所得の貧困率が再分配前所得の貧困率より高い。これは、きわめて重要である。なぜなら、それは逆福祉がおこなわれていることをあらわすからである。つまり、行政の再分配によって、貧乏人はさらに貧乏になる。これを逆福祉といわずして何といおう。欧米諸国より日本が悪いというだけでなく、OECD諸国と比べても、日本が悪い。日本の福祉がおかしいとは思っていたが、貧乏人をさらに貧乏にする政策がおこなわれているとは。トホホ。
じつは、このことを私も考えていた。私が考えてるのは、日本において福祉とは中流の相互扶助であり、下層のための福祉がきわめて手薄であるということである。以前に書いたのは、年金のことである。ホームレスの人もほとんどは働いた経験はあるだろうから、そのとき厚生年金を払ったことはあるだろう。しかし、年金が25年未満で無年金の人の場合、その払い込んだ金は国家に没収されている。そんなことがあっていいのか。もっとも弱者の金を国家がむしりとっているのである。ふざけるな。
住宅にしても、低所得者向けの都営住宅、市営住宅は倍率がきわめて高く、ほとんど入居できない。他方、旧公団の賃貸住宅は中流向けで、賃料は民間並みであるが、こちらは空きがある。中流向けは民間にまかせておけばいいのに、それを旧公団がやってきた。
貧乏人から金をむしり取り、中間層に回すというのが日本の制度だ。それを福祉ということは決してできない。日本で福祉とされるものは、中流と中流が助けあう中流の互助であり、生命保険会社の個人年金みたいなもんだ。企業でもできる貯金に近いことを行政がやって、それを福祉と称している。日本全体で下層を助けるのが福祉というものだろう。しかし、まったく逆になっている。悲しむべきことである。
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子どもの貧困―日本の不公平を考える (岩波新書) 阿部 彩 岩波書店 2008-11 平均評価点4.5 コメント:「少子化政策」の誤りを突く コメント:日本は子どもを大切にする? コメント:「貧困」を「子ども」中心の視点で論じた本 |
大竹文雄「正社員の雇用保障を弱め...」ウェッジ 書評
ウェッジの2009年2月号にタイムリーな大竹文雄の寄稿が出たので読んでみた。
タイトルは「正社員の雇用保障を弱め社会の二極化を防げ」というもの。
はっきりと正社員の雇用保障が強すぎること、それを弱めなければ、雇用の問題が解決しないことを主張している。
この点、なかなかいいにくいことなので、言い切ったことを高く評価したい。
普通の論理では、正社員の雇用も守り、非正規社員の雇用も守ろうというように、八方美人のような主張になるだろう。それをあえておこなわず、正社員を攻撃する姿勢を見せたところが素晴らしい。
正社員の雇用を守りすぎたことが、現在の非正規労働者の悲惨な状況を招いた原因である。それは、終身雇用、年功賃金の大きな弊害なのである。
彼はいう。「つまりは「非正規切り」の問題は、不況という負の経済ショックを誰が負担するのかという問題なのだ。日本全体のパイが縮小したショックを、非正規労働者が集中的に負担しているのが、いま起きていることである」[P36]
そこに原因があることを明確にした上で、処方箋を提案している。その姿勢はきわめて大人であり、経済学者らしいものである。今後も、がんばって、多くのメディアで発言してほしい。
★★★★★ 素晴らしい
書評『格差と希望―誰が損をしているか?』大竹文雄
ダン・コガイのブログで、この本をほめていたので、読んでみた。
『格差と希望―誰が損をしているか?』大竹文雄(大阪大学社会経済研究所教授)
感想は、はっきりいって内容が軽すぎる。
日本経済新聞社の「経済論壇から」というコーナーに連載した原稿などを、本にまとめたものである。「経済論壇から」というのは新聞で読んでいるといいことが書いてあるような感じがあるが、それはネタのタイムリーさに依存しているということがわかった。
文体が、そういうタイムリーさを入口にした書き方になっているので、時期を過ぎてから読むと、ぬるくなったビールを飲んでいるような気分である。あるいは、のびたラーメンを食っているような気分である。また、論述が短いので、テーマに論理的に迫り、粘り強い議論を展開するような迫力がない。さらっと論壇の意見を紹介して、カンタンにコメントしているというスタイルなのだ。
読んでいて、ところどころ興味深いのは、格差について世代間の不公平が存在するという主張である。副題にある「誰が損をしているか?」というのは、若者が損をしているという意味であろう。この点をもっと詳しく知りたいと思う。世代間の不公平、あるいは既得権益を握る中高年世代の問題に絞って、派遣切りの問題に鋭く迫る書き下ろしの著書を期待したい。
★★次に期待。
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格差と希望―誰が損をしているか? 大竹 文雄 筑摩書房 2008-06 平均評価点3.5 コメント:「あいつ(失礼)は経済人だ」 コメント:たかが経済と言える時代は当分きそうにないのだろう コメント:こういうスタイルの本は・・・ コメント:長期的且つ広範囲な視野で、今の判断をしているか? コメント:経済学からの視点 |

PROFILE:自宅警備員






